アサミの質問攻撃から逃れて明らかに胸をなでおろしていたヒロとマサキも、この小説に興味があるのか、アサミの両隣から彼女のケータイをのぞき見ている。
「名前はマサキと同じだけど、これの作者さんはマサキと全然違うタイプだよ!
やっぱり、小説とか書く人って頭良さそぉ」
アサミは最初、マサキをからかうようにそう言い、遊び半分に読んでいたが、物語に引き込まれているのか、じょじょに真顔になる。
一方、アサミの興味本位な感じとは違い、ヒロは真面目な顔つきで私に質問してきた。
「この小説、ノンフィクションになってるけど、ミオ、まさか信じてる?」
「ジャンルのこと?
ノンフィクションになってるから、そうなんじゃない?」
「そっか、だよな……」
ヒロと私がそんな会話をしている横で、
「アホらし……」
内容が期待ハズレだったのか、マサキはガッカリしたようにつぶやくと、アサミの手からケータイを取り上げた。
電源ボタンを連打し、小説画面を強制的に終了させる。
「ちょっと、何すんの!?
いま、面白いとこだったのに!」
アサミはマサキをにらんだ。


