ケータイ小説 『肌』 著:マサキ


ここへ来てから、私はマサキの方を見ないようにしている。

それに気付いたのか、ヒロはマサキに話を振った。

「すごいって言えば、俺なんかよりマサキの方がすごいって!

コイツ、今さぁ……」

「ヒロ、言うな!」

ここへ来て初めて耳にしたマサキの第一声は、辺りに大きく響いた。

突然張り上げられた声に驚いたのはアサミと私だけではない。

ヒロも目を見開き、私の方をチラッと見ると、再び視線をマサキに戻し、彼に謝った。

「…ああ! ごめんごめん、つい。

何でもないから、今の話忘れて!」

アサミは不満げな表情で、

「何なに!? 何の話ー!?

マサキの何がすごいの?

言えばいいじゃん、隠されるとよけい気になるんだけど!」

と、男二人に突っ込んだが、彼らはそれ以上何も話そうとしなかった。