アサミがノリよく返してくれて、内心私はホッとした。
「元気元気!
ていうか、ミオ、なんか痩せたー?」
「そんなことないよ」
毎日、から揚げとかスナック菓子とか、油使ったもの食べてるし。と、心の中で付け足していると、アサミはやや興奮気味に言葉を継いだ。
「痩せたって言えば、ヒロもガリガリじゃない!?
働きすぎなんだよ、ヒロは。
ヒロね、バイトしてる本屋で、来年から正社員として働くんだって!
今からいろいろやらされてるの。
あとねあとね!
この前、ヒロの働く店にマンガ家の○○先生が来たんだって!」
と、自分の話をするみたいにヒロの近況を教えてくれた。
不自然にならないよう、私はヒロにも視線をやり、
「すごいね!
本屋って、マンガ家のサイン会とかよくやるの?」
「その時はたまたま。
○○先生が所属してる出版社の人が言うには、この辺が○○先生の地元だから、先生の希望もあって、ウチの店でサイン会やることにしたんだって。
普段は、ごく普通の静かな本屋」
記憶の中のヒロと違い、彼の口調はグッと落ち着いていた。
少しだけ大人っぽくなったヒロ。
高校の時はずっと明るい茶髪だったのに、来年から社会人になることを意識してるのか、今は落ち着いたブラウンの髪をしている。


