ケータイ小説 『肌』 著:マサキ



久しぶりにアサミと電話した日から二ヶ月近く経過し、9月中旬を過ぎた。

わりと涼しい風が吹くようになり、ここ愛知にも秋の匂いが漂いはじめている。

10月1日からは、後期の授業開始。

大学生最後の夏休みも、もうすぐ終わってしまう。


就活は相変わらずうまくいかなくて、何の進展もないまま、私は同窓会の日を迎えた。


集合時刻は午後6時。

真夏に比べると日が沈むのが早く、予約の店が位置する栄のビル群には、ライトアップされた通路がまぶしく照らし出された。


連立したビルのすき間をびっしり埋めつくす人の波。

人の気配と地熱に満ちた歩道。


地下にむけて階段を数段おりると、幹事の予約したバーがある。

今朝、私はアサミにメールし、一緒に集合場所に向かおうと誘ったのだが、アサミはすでにヒロやマサキと待ち合わせの約束をしていると言ったので、私は遠慮しておいた。

誰と待ち合わせするでもなく、私はひとりで現地に向かった。


目的地につくと、店の扉には準備中のプレートがかかっていた。

まだ、他には誰も来ていない。

時間にルーズな私にしては珍しく、クラスの誰よりも早く到着したようだ。


コンクリートの敷地が見渡せる大通りで、みんなが来るのを待つ。


同窓会には、何人くらい参加するんだろ?

1クラス分だから、全員参加なら40人のかしきり。

でも、外から見た感じ、この店は狭そうに見える。

あまり、メンバーが集まらなかったのかもしれない。