話が盛り上がっている中、アサミが突然声をあげ、
『やばっ!店長からキャッチ入ってる!
これからバイトなの忘れてた!
もう切るね!』
「わかった、頑張って」
『同窓会、絶対来てね!
じゃなきゃ、マサキとヒロ連れて、ミオんち押しかけるから!
じゃ!』
まくし立てるように用件を告げ、アサミは電話を切った。
久しぶりの感覚に、私は体が宙に浮きそうな気持ちになる。
アサミと、久しぶりに話したなぁ……。
あんなに避けていたのに、アサミは何事もなかったかのように話してくれた。
高校生の頃は、こんな毎日が当たり前のように続いてたな。
学校で毎日顔を合わすのに、家に帰っても、アサミとは、電話でいろんな話をしてた……。
何をそんなに話すことがあったのか、今はそういう感性を忘れかけているけど、あの頃はきっと、何でもないささいな日常が楽しくて、目に映る何もかもが話題になっていた。
“話すこと”“共有すること”を、心から楽しんでいたんだと思う。
マサキやヒロの出席に不安感は拭えないものの、私は同窓会の通知に黒いボールペンを走らせた。
《出席》の文字に、元気な丸をつける。
夏休み終盤に行われる同窓会。
私は、自分の中にあるいろんな想いと向き合うため、思い切って参加することに決めた。


