それは本当だ。
たとえマサキに再会しても、
私に新しい恋が訪れたとしても、
マサキに見せつけたりする気はない。
サクにも、恋愛感情なんてない。
私の気を知ってか知らずか、アサミは低い声で言った。
『桐島って女グセ悪いって有名だけど、ミオと付き合ってからアイツの悪いウワサ聞かなくなったし、安心してた』
「安心……?」
『桐島とミオのこと、一時期大学でウワサになってたんだよ。
知らなかった?』
「そうなんだ。
初めて知った」
『たく、ミオは……。
そういうとこは変わんないね』
お互い様。
心の中だけで突っ込む。
『桐島のウワサ聞いた時、ミオのことが心配だったよ。
桐島って、ミオの好みと全然違うし、マサキのことで壊れて無茶してるんじゃないかって思ってた……』
普段バカっぽい振る舞いしかしないのに、やっぱりアサミの目は鋭かった。
『でも、そんな心配、必要なかったね。
桐島はミオに対しては真剣みたいだし。
時々お母さんからミオの話聞くけど、元気そうにしてるって言ってたし』
アサミと疎遠(そえん)になってからも、アサミのお母さんとは近所のコンビニやスーパーでよく顔を合わせていたので、私は出来るだけ普通にしゃべるよう気をつけていた。


