4年ぶりにマサキとキスをしたあの夜、私はマサキと連絡先を交換していた。
サクがマサキに電話できたのも、そのせい。
いつもふざけて真剣味のないサクだったけど、サクじゃない他の人とああいう関係になっていたら、こうはならなかったかもしれない……。
気持ち的には浅い付き合いだったけど、私が思う以上に、サクは私のことを気にかけてくれていたんだな……。
彼の思いやりを受け取ると同時に、私は言った。
「うん……!
私は、マサキのことが好きだよ!
もう、小説に頼らなくてもいいくらい、私がそばにいる……!」
マサキの胸に向かって両手を広げると、マサキも勢いよく抱きしめ返してくれた。
どちらかの気持ちが一方通行しているわけじゃない、
お互いが同じ気持ちになった時の抱擁(ほうよう)は、この上ない居心地の良さがある。
体のすみずみまで、マサキの心を感じることができる。
セックスという手段がなくても、私達は、愛し合う方法を知っている。
そばにいるだけでこんなにも気持ちが満たされるのだから、間違いない。


