サクは大学の友達……。
そう言えばいいのに、私の口は動かなかった。
サクは、マサキに何て言ってたの?
嫌な予感がした。
尋ねたいけど、やっぱりこわい。
マサキは説明した。
「アサミから連絡もらってミオを探してた時、知らない番号から電話が来て……。
なぜか、出なかったら後悔するかもしれないって気がして、出てみたんだ。
『ミオと同じ大学に通う、友達想いのサクちゃんだよ』って名乗ってた」
「……な!」
そんな時にまで冗談を……!
とことんサクらしい……。
「サク君は、ミオと同じ講義を取ってるって言ってた。
隙を見て、ミオのケータイから俺の番号を自分のケータイに赤外線通信で送ったって言ってた」
多分、さっき私がシャワーを浴びてる時に、サクはマサキに電話をかけていたんだ……!
講義中に赤外線通信したなんて、真っ赤なウソ。
サクの早業に、背筋が冷えた。
ていうか、今は夏休み中。
素直なマサキも、さすがにサクの言い訳はおかしいと思ったはず……!
「サク君は言ってた。
『この電話切ったら、アンタの番号は削除するから安心して。
ミオをもう、壊さないでくれよな。
中途半端な優しさは凶器になる。
これからは本気で愛してやれ。
じゃなきゃ、アイツは、今度こそダメになる。
言いたいのはそれだけ』って」


