ケータイ小説 『肌』 著:マサキ


今まで、『セフレだから』と自分に言い聞かせ、サクに深入りしないようにしてたけど、本当は気付いてた。

彼には、人望があることを。

学内で時々見かけるサクのそばには、いつも何人かの男友達がいた。

女関係にはだらしないし、チヤホヤされるとあからさまに鼻の下を伸ばす馬鹿正直な男だけど、サクは友達を大切にする人だ。


いつだったか、サクの男友達に声をかけられたことがある。

大学のカフェ内で、私は一人、時間つぶしをしていた。

彼は、私のことをサクの彼女だと勘違いして、言った。

「俺、サクみたいな男になりたいんだよね。

アイツっていつも、周りを見て行動しててさ。

そういうとこ尊敬する」


単なる体の関係。

そのはずなのに、サクともたくさんの時間を過ごしてきたのだと気付いた。


人との別れに必ず生じる、独特の切ない気持ち。

それをぶちこわしたのは、やっぱりサクのふざけた声だった。

「お前とエッチできなくなんの、キツイわー。

おっぱいは特にそう!

ちょうどオレの手にフィットして気持ちいいのに」

「サクなら、すぐに相手見つかるんじゃない?」

「まあ、そうだけどさぁ。

胸の感触やサイズってのは、オレにとっては命より大事なことなんだからなっ!」