《俺達には、嫌でも大人にならなきゃいけない日がやってくる》
マサキの小説にあった言葉を思い出した。
大人になるって、何だろう?
成人式に参加してから2年が過ぎた今でも、よく分からない。
ヤマの変化は、私からしたら裏切りとも言える。
そんな出来事すらも、大人になったせいだと言うのかな。
分からない。
ただ、ひとつだけ分かるのは、私が不器用な人間だということ。
マサキを嫌いになる自信がないということ。
ヤマと過ごした中学時代の綺麗な思い出を、今の汚い想いに沈めることができないということ。
マサキなら、どうする……?
彼に会いたいと願った空に、雨が降り出した。
傘なんて持っていない。
次第に強くなる雨足に、私の全身はまたたく間にグッショリ濡れた。
どこかの店に入ればいいのに、それすらする気力が湧かない。


