ふと見上げた空には、分厚い雨雲が広がっていた。
昼間はあんなに晴れていたのに……。
夜風に乗って、しめったコンクリートのにおいがする。
こんな時、私は誰を頼っていたんだっけ……?
心にポッカリ穴が空くとは、まさにこのことだと、心に居るもう一人の自分が冷静につぶやいた。
「マサキ……」
会いたいよ。
「もう、無理なのかな……?」
マサキに会いたくて仕方ない。
高校時代。
困った時に助けてくれたのは、いつもいつも、マサキだった。
私の中で、マサキの存在は種を持ち、心の中で空に伸びる鮮やかな草花になっていた。


