「ミオ、早かったね」
ヤマは、中学の頃と変わらない、落ち着いた声のトーンで私を迎えた。
化粧っ気のない素朴な顔。
大人びた雰囲気のヤマ。
それだけなら、ただの再会の場になるし喜べるのに、私の気持ちは引いてしまった。
それは、マヤと同席していた女性のせい。
私はてっきり、ヤマと二人きりで会うのだとばかり思っていたから、はじけきれない気分になる。
私はヤマの隣に座り、向かいにいる初対面の女性に目を向けた。
「この人、松美さんって言うの。
私の大学の卒業生なんだけど、今は、いろんな事業を掛け持ちしているすごい人なんだよ」
説明するヤマの目は輝いていた。
「ミオにも、松美さんに会ってほしくて。
松美さんに無理言って来てもらったの」
何? そのひいき感。
私の意思は無視?
別にいいけど、メールくらいしてほしかったよ。
……なんて言えるわけもなく、あいまいに笑ってみせた。


