『肌』の最終章。1ページ目。
俺は、人を好きになる資格がない。
たしか、そういったことが書かれていた。
「ねえ、今度は私が質問していい?
私、マサキを苦しめてた……?
付き合ってた時、マサキは何も言わなかったけど、私に何か不満があったんじゃないの?
小説には、私とのことを面白おかしく、愛情込めて書いてくれてたけど、私は、小説にも書けないようなひどいことを、何か言ったんじゃない?
もしそうなら、言ってほしい。
私に許せない部分があるのなら精一杯直す努力はするし、直らなかったら、今度こそ潔(いさぎよ)く別れを受け入れるから」
「…………ミオ……」
「お願い……!
正直に話してほしい……」
マサキの瞳には、動揺の色が濃く浮かんでいる。
涙をこらえ、私はマサキを見つめた。
マサキから発せられるサインを、何ひとつ見逃したくない。


