好き。
会いたい。
一緒にいたい。
そう思う気持ちは同じはずなのに、私とマサキの間には、薄い透明の壁があるようだった。
最近まで、私達の関係を反対していたアサミとヒロ。
今、嫌な感じで、二人の言葉を思い出した。
……やり直す気なんてナイくせに、期待させるようなこと言わないで……
口から出そうになった裸の言葉を、グッと飲み込んだ。
言ってはいけないと直感して……。
車すら通らない静かな裏通りに、私達の息遣いだけが響く。
私が泣きやむ頃、マサキはゆっくり体を離し、おそろしいほど暗い瞳で私を見つめ、訊いてきた。
「小説、最後まで読んだ?」
「……ううん。最終章の1ページ目までしか読んでない」


