ケータイ小説 『肌』 著:マサキ


我慢できなかった……。

別れてから、マサキに言えなかったこと、

再会してから生まれた気持ち、

苦しい胸の中。

マサキの腕に抱かれ、口にせずにはいられなかった。

「マサキ、言ったよね!?

私のこと幸せにできないから別れたいって!

なのに、ナンパされたって知って心配してみたり、他のコの誘い断ったり、同窓会で気遣かってくれたり、今も、こうやってしてくれてさ……。

マサキが何考えてるのか、全然分からない!」

「……別れたいって言ったのは俺なのに、勝手だと思う。

でも、さっきアサミから、ミオが男に絡まれてたって聞いた時、嫌だった。

ミオを、他の誰にも渡したくなかった。

ミオ以外の女と映画観たいなんて思えなかった。

こう思うのは、迷惑……?」

「迷惑なわけない! 嬉しかったよ……。

だからこそ許せない。

ケータイ小説だって、あんなこと書いて本にするくらいなら、まず、私に会いに来てよ!

私の知らない場所で、本なんかにしないでほしかった……!」

「やっぱり、読んだんだな……」

それきりマサキは黙ってしまい、泣きじゃくる私を、ただ、強く抱きしめていた。