想像や妄想なんかじゃない。
マサキはたしかに、ここにいる……!
胸の奥からいろんな想いが込み上げてきて、涙が出そうになった。
それを引っ込めるべく、私はわざと意地悪な口調で切り出す。
「昨日、私のブックマーク、勝手に消したよね?
小説に、何書いたの?」
「……その顔は、読んだな?」
マサキはぎこちない表情で笑い、
「何のために消したと思ってんだよ。
消されてたら、普通はもう、読まないだろ?」
「普通読むよ。
隠すことないじゃん。
ヒロには、小説のこと教えたクセに」
「アイツは本屋で働いてるから」
「本当に、それだけ?
いくらヒロが本屋の店員だからって、マサキが小説書いてるなんて、言わなきゃ分かりっこないよ。
ヒロにだけは、書籍化される前から小説のこと教えてたんじゃない?」
「……うん。アイツにはいろいろ相談乗ってもらってたしな。
ウソついてごめん……」


