店の前には、深刻な表情で話し込むマサキとヒロの姿があった。
何を話しているのか分からないけど、今までのことを考えると、反射的に身構えてしまう。
そんな空気を壊したのは、アサミの明るい声。
「アンタ達のせいで、ミオ、イケメンにナンパされてたよー!」
「本当に……!?
大丈夫?
何もされてない!?」
マサキは、失くし物を見つけたときのように、私の顔をまじまじと見た。
イケメンなんて、ウソなのに。
「大丈夫。アサミが助けてくれたから……。
それより、沙織ちゃんのこと放っておいていいの?
罪な男過ぎる……」
「誰のせいでこうなったと思ってんだ。
あのコにはとっくに謝ったし、映画も断った。
最初から行く気なんてなかったけど」
あきれたようにため息をつくと、私の手を引き、マサキは歩きだした。
「ミオ、今までごめん……!
マサキ、がんばれよ!」
ヒロの謝る声。
「もう、ミオのこと泣かさないでね!」
私達の関係を後押しするようなアサミの言葉。
背中から伝わる、友達二人の視線があたたかい。
手のひらに感じるマサキの体温が、なにより嬉しい。
もう、マサキのことしか見えない……。
緊張すると、人より手に汗をかきやすい体質のマサキ。
今も、私とこうすることに、緊張してくれてる……?


