「アサミ……」
「店を出てく時のミオの顔見て、思ったんだ。
こんな顔してるミオ、もう見たくないって」
私、やっぱり、“何でもないフリ”なんて、できてなかったんだな……。
うつむく私に、アサミは真面目な顔を向けた。
「でも……。まだ、ちょっと心配はある。
ミオは、マサキと向き合ったら、つらい思いをするかもしれない。
その時は、あたしを頼ってほしい」
「うん……!」
約束するよ。
「アサミも、何かあったら私に相談してね」
アサミは微笑することでイエスを示す。
「ヒロとマサキも、店の外でミオのこと待ってる」
「沙織ちゃんは?」
「ミオが出てってから、沙織ちゃんの話なんて知らないうちに流れてたよ。
マサキ、血相変えて店出ようとしててさ。
最初、あたしじゃなくてマサキがミオを追いかけようとしてた。
でも、二人がうまくいく前に、あたし、こういうことちゃんとミオに話しておきたかったから。
それに、ミオに彼氏がいるのはウソって、マサキに言っといたよ」
「……! ありがとう」
この先、何があっても逃げ出さない。
「マサキと別れたことに比べれば、つらいことなんてないから、大丈夫」


