オーダー品がテーブルにならぶ。
アサミは、私の分までいろいろ頼んでくれていた。
アサミはビールを飲みつつ、ウソを交えてヒロに尋ねた。
「マサキの小説、本になったんでしょ?
学校のコも何人か、マサキの本持ってたよ。
奈良さんがマサキのファンでも、不思議じゃないよねー?」
マサキはそっけなく、
「そんなんじゃない」
と、反論したが、それにかぶせるようにヒロが答えた。
「そう! 奈良先輩も、マサキの小説のファンなんだ。
先輩には前から、マサキに会いたいって言われてたから、マサキに頼んで、今日、二人に会ってもらうことにしてさ」
「やっぱりね」
アサミはしたり顔で、ヒロとマサキを見る。
「あのコも、マサキの小説好きなんだって」
ヒロは嬉しそうに、カウンター席で客の注文を取っている女の子を指差した。
あれは、さっき、奈良さんの横にいたコ……。
……ただのファン。
わかっているけど、私の胸は、嫌な感じでざわついてしまう。


