Raindrop~Mikoto side

「拓斗くん……」

尊敬するお兄さんを思ってなのか。拓斗くんは真剣な目で私を見ていた。

……こんな風に真っ直ぐに見つめられたら、こちらも誠実に対応しなければ、駄目よね……。

「……ごめんなさい」

ペコリ、と頭を下げ、それからダイニングの方を見る。まだリビングには戻ってこないことを確認してから、また拓斗くんと向き合う。

「貴方の言う通り、結婚は家の事情だから仕方ないことなの。……拓斗くんのお兄さんのことは、本当に……とても、大好きよ」

これは内緒よ、と唇に人差し指を添えてから、更に続ける。

「大好きだけど……私は、他の人と……結婚、します」

そう言った途端に、不覚にもポロリと涙を零してしまって。慌てて指先で涙を拭う。

「あ……す、すみません、お辛い思いをさせてしまってっ……」

拓斗くんは慌ててハンカチを取り出し、私に差し出してくれた。

それを礼を言いながら受け取ると、拓斗くんは少し不満げに唇を噛んだ。