Raindrop~Mikoto side

曲が終わってもあたたかな余韻が続いていた。

夜空に瞬いていた星が、今は胸の中で小さく光っている。


「……水琴さん。料理教室のことなんですが」

視線を交わらせないまま、和音くんが話しかけてくる。

「良かったら、ここでやりませんか」

「……ここで? このおうちで?」

「ええ。花音や拓斗からも教えてくれるように頼まれていて。でも受験勉強で時間を取るのが難しくなってきたので……貴女さえ良ければ、一緒にどうですか」

それはありがたい申し出だった。

もう2人きりで会うなんてことは出来ないだろうし、かと言って和音くんに会わないでいるのは……寂しかったから。

「水琴さんの料理下手が知られてしまうことにはなりますが……皆でワイワイやる方が、きっと楽しいですよ」

そう言って笑う和音くんに、きゅっと胸が痛んだ。

触れ合うことはなくても、ただ傍にいてくれる。

……そういう関係を、築いてくれるのね。

「ありがとう。……お願いするわ」

私はその言葉に甘えさせてもらうことにした。

最後の我侭として。