Raindrop~Mikoto side

流れていく涙をそのままに、片手に持った青い海のポストカードを見る。

「勇人さん。最後に、言わせて」

『うん?』

「別れた女と奥さんを引き合わせようとするなんて、何考えてるのよ」

涙声でそう言う私に、勇人さんはまた笑った。

『確かにそうだ。君にも妻にも、失礼だよね』

「ええ。奥さんには謝っておいて。……ちゃんとうまく誤魔化して」

『了解』

「……それじゃ」

『ああ。……水琴』

「なに?」

「どこにいても、君のしあわせを願っているから』

最後まで勇人さんは勇人さんだった。優しい人だった。

「……ありがとう。それじゃ……『さよなら』」

『さよなら』


ぷつり、と電話を終えて。

ディスプレイに映った『勇人さん』の文字を眺める。

そうして、アドレス帳からその名前を、消した。