あれはあれで綺麗だけど、このかわいさは捨てがたいよー。
ああ、このまま成長しなければいいのに! 時間って残酷!
ぴょんぴょん跳ねていたイノリが、何か見つけたように急に駆け出した。
「イノリ!? どうしたの?」
鉄製のゴミの集積箱に真っ直ぐに駆けて行ったイノリは、鉄の蓋がついた箱に乗りあがった。
その上でまた遠くを見るように跳ねる。
「うあ、危ない! 危ないってば、イノリ!」
「だいじょうぶだってば。へへーん」
自信ありげに笑った次の瞬間、着地した足がずるりと滑った。
「うわ!」
「イノリ!」
抱きとめる猶予もなく、イノリは転げ落ちてしまった。
慌てて近寄る。
「いってぇ……」
「どこ打った? 怪我はない?」
座り込んだままのイノリを立ち上がらせ、体を確認する。
しりもちをつく形で落ちたので、頭は打っていないはずだ。
しかし、肘に擦り傷を作ってしまっていた。
「あー、血が滲んでる。反対側は平気? あとは痛いとこない?」
「へいき! ぼく男だし、こんなのどうってことないもん」
の割には眉間にシワ寄ってるんですけど。
男の意地ってやつ?
それなら見てみぬフリしてあげるけどさ。
でも。
頭にごつんとこぶしを落としてやった。
「痛い! ミャオ、なんでぶつのさ!」
「危ないことしたからだよ。今は平気だったけど、大怪我したかもしれないんだよ?
頭を打ってたら大変なことになったかもしんない。
それに、こういう公共物の上に乗ったらダメ。分かった?」
膝をついて、ぶすうとした不満げな顔を真正面に見て言う。
怒っていた瞳が、次第にしゅん、と沈んでくる。
「ごめん、なさい……」
「わかれば、よし」
頭を撫でてから、バッグの中から絆創膏を取り出した。
準備万端、美弥緒さん。
「ほら、腕出しな?」
「ん……」
細い腕が差し出される。
そこに絆創膏を貼りながら、くすりと笑った。
「なに? ミャオ」
「いや、イノリさー。あんた将来絶対いい男になるんだから、あんまし体に傷つけたらダメだよ。特に顔な。
イノリは綺麗な顔してんだからさ。大事にしなさいって母ちゃん言わなかった?」
「言わないよー、そんなの」
「そうなの? なら、覚えときな」
ああ、このまま成長しなければいいのに! 時間って残酷!
ぴょんぴょん跳ねていたイノリが、何か見つけたように急に駆け出した。
「イノリ!? どうしたの?」
鉄製のゴミの集積箱に真っ直ぐに駆けて行ったイノリは、鉄の蓋がついた箱に乗りあがった。
その上でまた遠くを見るように跳ねる。
「うあ、危ない! 危ないってば、イノリ!」
「だいじょうぶだってば。へへーん」
自信ありげに笑った次の瞬間、着地した足がずるりと滑った。
「うわ!」
「イノリ!」
抱きとめる猶予もなく、イノリは転げ落ちてしまった。
慌てて近寄る。
「いってぇ……」
「どこ打った? 怪我はない?」
座り込んだままのイノリを立ち上がらせ、体を確認する。
しりもちをつく形で落ちたので、頭は打っていないはずだ。
しかし、肘に擦り傷を作ってしまっていた。
「あー、血が滲んでる。反対側は平気? あとは痛いとこない?」
「へいき! ぼく男だし、こんなのどうってことないもん」
の割には眉間にシワ寄ってるんですけど。
男の意地ってやつ?
それなら見てみぬフリしてあげるけどさ。
でも。
頭にごつんとこぶしを落としてやった。
「痛い! ミャオ、なんでぶつのさ!」
「危ないことしたからだよ。今は平気だったけど、大怪我したかもしれないんだよ?
頭を打ってたら大変なことになったかもしんない。
それに、こういう公共物の上に乗ったらダメ。分かった?」
膝をついて、ぶすうとした不満げな顔を真正面に見て言う。
怒っていた瞳が、次第にしゅん、と沈んでくる。
「ごめん、なさい……」
「わかれば、よし」
頭を撫でてから、バッグの中から絆創膏を取り出した。
準備万端、美弥緒さん。
「ほら、腕出しな?」
「ん……」
細い腕が差し出される。
そこに絆創膏を貼りながら、くすりと笑った。
「なに? ミャオ」
「いや、イノリさー。あんた将来絶対いい男になるんだから、あんまし体に傷つけたらダメだよ。特に顔な。
イノリは綺麗な顔してんだからさ。大事にしなさいって母ちゃん言わなかった?」
「言わないよー、そんなの」
「そうなの? なら、覚えときな」



