「ああああああ、あー。あー、間違い。間違えました、あたし。あははは」
財布の中から慌てて小銭を出す。100円玉が数個あったことにほっとしつつ、お姉さんに手渡した。
「これ、子供銀行のやつ。おもちゃなんですよー。もうやだ、あたしったら、うふふー」
「あ、あはは?」
大丈夫なのかしら、この子。とお姉さんの目が語っている。
変な子ですよね、あたし。
はい、分かります。
「あ! これ、これもください!」
レジ横にあったスポーツ新聞を一部取り、追加で小銭を渡す。
怪訝そうなお姉さんにへらへらと笑いかけてから、逃げるようにして店を出た。
集合場所であるはずの駅前広場に戻る。
もしかしたら誰かいるのかも、と淡い期待を抱いたが、あっけなく粉砕。
さっきと同様、見慣れた顔は一人としていない。
はあ、とため息をつきつつ、空いたベンチに腰掛けた。
ベンチは全然濡れた形跡はなく、なんだかなあ、と思う。
ともあれ、よく冷えたペットボトルのお茶を飲んで、再び息を吐く。
ああ、おいしい。緑茶って精神安定の効果あるよね、きっと。
ペットボトルを横に置き、一緒に買った新聞を広げる。
まず、日付確認。
平成15年7月10日(木)
うん、ドッキリだとかいうなら、すんごく手が込んでるね。お金も随分かかってるよね。
どんな金持ちがこんな悪戯しかけるっていうわけ? あたしを見初めた大富豪か?
って、ないわー。ナイナイ。
これって、認めたくないんだけど、『時間移動』とか『タイムスリップ』とかいう類のものではないだろうか。
過去へひとっ跳び! みたいな。
SFってやつ?
あの、あたし、そっちのジャンルには疎いんですけど。
時空間やベクトルなんて話、理解できない頭なんですけど。
もちろんタイムマシンなんて作れませんし。
こんな状況に追い込まれても、上手く切り抜けられるような智恵を全く持ち合わせていないんです!
って、誰に訴えたらいいんだろう。
神様? あたしの家って仏教なんだけど、仏様? いや、お釈迦様?
つーか、神様がこんなことするはずないか。
「どうしたもんかな……」
9年前の芸能記事をぼんやり眺めながら、ぽつり。
こういう時、物語ならかっこいい青年とかが現れて、助けてくれるんだよね。
その人は実は天才的な頭脳を持つ博士とかで、すんごい性能のパソコンで時空の歪みを調べて元の世界に送り返す方法を探ってくれたりするんだよね。
で、方法が見つかった頃にはあたしと甘酸っぱい恋愛模様を描いてたりしてて、
元の世界に返すべきか、残すべきかで苦悩するわけ。
最終的には青年はあたしを送り返すことを決意して、時空の歪みを人工的に起こす機械を製作。帰りたくないと泣き咽ぶあたしを無理やり元の世界に戻すのよ。
そして9年後。戻ってきたことに絶望し、泣き暮らすあたしの前に一人の渋いおじ様が現れる。
それは愛しい青年博士の少し老いた姿。
こんな姿でも君を愛しいとおもう俺を受け入れてくれないか、とか言われて、あたしは彼に抱きつくの。
年なんて関係ないわ。あたしは貴方という人を愛しているのよ! ってさあ。
うわ、想像だけで泣けてきた。
いいな、この話。9年後の青年役は誰がいいかなー。渋いおじ様だし、難しい役どころだなー。
財布の中から慌てて小銭を出す。100円玉が数個あったことにほっとしつつ、お姉さんに手渡した。
「これ、子供銀行のやつ。おもちゃなんですよー。もうやだ、あたしったら、うふふー」
「あ、あはは?」
大丈夫なのかしら、この子。とお姉さんの目が語っている。
変な子ですよね、あたし。
はい、分かります。
「あ! これ、これもください!」
レジ横にあったスポーツ新聞を一部取り、追加で小銭を渡す。
怪訝そうなお姉さんにへらへらと笑いかけてから、逃げるようにして店を出た。
集合場所であるはずの駅前広場に戻る。
もしかしたら誰かいるのかも、と淡い期待を抱いたが、あっけなく粉砕。
さっきと同様、見慣れた顔は一人としていない。
はあ、とため息をつきつつ、空いたベンチに腰掛けた。
ベンチは全然濡れた形跡はなく、なんだかなあ、と思う。
ともあれ、よく冷えたペットボトルのお茶を飲んで、再び息を吐く。
ああ、おいしい。緑茶って精神安定の効果あるよね、きっと。
ペットボトルを横に置き、一緒に買った新聞を広げる。
まず、日付確認。
平成15年7月10日(木)
うん、ドッキリだとかいうなら、すんごく手が込んでるね。お金も随分かかってるよね。
どんな金持ちがこんな悪戯しかけるっていうわけ? あたしを見初めた大富豪か?
って、ないわー。ナイナイ。
これって、認めたくないんだけど、『時間移動』とか『タイムスリップ』とかいう類のものではないだろうか。
過去へひとっ跳び! みたいな。
SFってやつ?
あの、あたし、そっちのジャンルには疎いんですけど。
時空間やベクトルなんて話、理解できない頭なんですけど。
もちろんタイムマシンなんて作れませんし。
こんな状況に追い込まれても、上手く切り抜けられるような智恵を全く持ち合わせていないんです!
って、誰に訴えたらいいんだろう。
神様? あたしの家って仏教なんだけど、仏様? いや、お釈迦様?
つーか、神様がこんなことするはずないか。
「どうしたもんかな……」
9年前の芸能記事をぼんやり眺めながら、ぽつり。
こういう時、物語ならかっこいい青年とかが現れて、助けてくれるんだよね。
その人は実は天才的な頭脳を持つ博士とかで、すんごい性能のパソコンで時空の歪みを調べて元の世界に送り返す方法を探ってくれたりするんだよね。
で、方法が見つかった頃にはあたしと甘酸っぱい恋愛模様を描いてたりしてて、
元の世界に返すべきか、残すべきかで苦悩するわけ。
最終的には青年はあたしを送り返すことを決意して、時空の歪みを人工的に起こす機械を製作。帰りたくないと泣き咽ぶあたしを無理やり元の世界に戻すのよ。
そして9年後。戻ってきたことに絶望し、泣き暮らすあたしの前に一人の渋いおじ様が現れる。
それは愛しい青年博士の少し老いた姿。
こんな姿でも君を愛しいとおもう俺を受け入れてくれないか、とか言われて、あたしは彼に抱きつくの。
年なんて関係ないわ。あたしは貴方という人を愛しているのよ! ってさあ。
うわ、想像だけで泣けてきた。
いいな、この話。9年後の青年役は誰がいいかなー。渋いおじ様だし、難しい役どころだなー。



