イノリは動きを止めたまま、何も言わない。何を今更ごちゃごちゃ言ってんだ? って思うかな。怒ってるかな。
それでも言わなくちゃと続けた。
「言い訳くさいか。くさいよな。
でも、事実なんだ。
あの写真は目を痛がってるあたしを病院に連れて行ってくれたところとか、危険だからって通学に付き添ってたところとかで、何にもなかったんだよ。
ホントに何にもないか」
「何で、そんなこと言うわけ?」
あたしの言葉を遮るように、イノリが言った。
その声音からは、感情がいまいち掴めなかった。
もしかして、怒らせただろうか。
わざわざ言い訳がましいことを言うほうが、怪しかった?
でも、この部分ははきちんとしておきたかったし。
「何で、てそりゃ、勘違いされたままは嫌、だし……」
もごもごと言うと、今度は「何で?」と簡潔に訊かれた。
「何で、ってだから嫌だから、さ」
「だから、何で、嫌だと思ったんだ、って訊いてるんだけど」
「へ? いや、嫌われたくないからだよ。もちろん」
そこから? と首を傾げれば、イノリが言った。
「俺に、嫌われたくない?」
「当たり前だろ。だからここまで誤解を解きに来たんだ」
何言ってんだ。
当然すぎる問いに少し憤ってそう言い足せば、イノリがあたしをそっと降ろした。
道路の端に座らされる。
「ん? どうした、やっぱり重たくなったか?」
「なあ、ミャオ」
イノリがあたしの前に片膝をついて座った。
じ、と顔を見つめてくる。
暗闇になれた目には、イノリの顔はよく見えた。
その顔に浮かんだ表情に、どくんと心臓が跳ねた。
「な、なに、イノリ」
「嫌われたくなくて、ここまで来たんだ? こんな時間に」
「う、うん」
「あんな山の中に入ったのも、俺に会って誤解を解くためだった?」
「ま、まあ。あの先にいるんならって思った、し……」
言いながら、だんだん恥ずかしくなる。
自分の無鉄砲ぶりを再確認させないでくださいって!
馬鹿だってことはもう分かってますから!
えーい、笑いたきゃ笑えよ。
しかし、イノリは笑ったり馬鹿にしたりしなかった。
どころか、真剣な顔をあたしに向けていた。
「な、なんだよ、イノリ。責めるんなら責めてくれていいぞ。でも、これでも必死だったんだ。いや、こんな風に迷惑かけちゃったのは、馬鹿なんだけどさ……」
その部分は、本当に本当に、何度だって謝らなくちゃいけないところだけれど。
ところがイノリは責めるどころか、あたしをぎゅうと抱きしめてきた。
イノリの肩口に顔が押し付けられる。
「んな!? イ、イノリ!? どうしたんだ!」
「それってさ、俺のこと、好きってこと?」
それでも言わなくちゃと続けた。
「言い訳くさいか。くさいよな。
でも、事実なんだ。
あの写真は目を痛がってるあたしを病院に連れて行ってくれたところとか、危険だからって通学に付き添ってたところとかで、何にもなかったんだよ。
ホントに何にもないか」
「何で、そんなこと言うわけ?」
あたしの言葉を遮るように、イノリが言った。
その声音からは、感情がいまいち掴めなかった。
もしかして、怒らせただろうか。
わざわざ言い訳がましいことを言うほうが、怪しかった?
でも、この部分ははきちんとしておきたかったし。
「何で、てそりゃ、勘違いされたままは嫌、だし……」
もごもごと言うと、今度は「何で?」と簡潔に訊かれた。
「何で、ってだから嫌だから、さ」
「だから、何で、嫌だと思ったんだ、って訊いてるんだけど」
「へ? いや、嫌われたくないからだよ。もちろん」
そこから? と首を傾げれば、イノリが言った。
「俺に、嫌われたくない?」
「当たり前だろ。だからここまで誤解を解きに来たんだ」
何言ってんだ。
当然すぎる問いに少し憤ってそう言い足せば、イノリがあたしをそっと降ろした。
道路の端に座らされる。
「ん? どうした、やっぱり重たくなったか?」
「なあ、ミャオ」
イノリがあたしの前に片膝をついて座った。
じ、と顔を見つめてくる。
暗闇になれた目には、イノリの顔はよく見えた。
その顔に浮かんだ表情に、どくんと心臓が跳ねた。
「な、なに、イノリ」
「嫌われたくなくて、ここまで来たんだ? こんな時間に」
「う、うん」
「あんな山の中に入ったのも、俺に会って誤解を解くためだった?」
「ま、まあ。あの先にいるんならって思った、し……」
言いながら、だんだん恥ずかしくなる。
自分の無鉄砲ぶりを再確認させないでくださいって!
馬鹿だってことはもう分かってますから!
えーい、笑いたきゃ笑えよ。
しかし、イノリは笑ったり馬鹿にしたりしなかった。
どころか、真剣な顔をあたしに向けていた。
「な、なんだよ、イノリ。責めるんなら責めてくれていいぞ。でも、これでも必死だったんだ。いや、こんな風に迷惑かけちゃったのは、馬鹿なんだけどさ……」
その部分は、本当に本当に、何度だって謝らなくちゃいけないところだけれど。
ところがイノリは責めるどころか、あたしをぎゅうと抱きしめてきた。
イノリの肩口に顔が押し付けられる。
「んな!? イ、イノリ!? どうしたんだ!」
「それってさ、俺のこと、好きってこと?」



