いつかの君と握手

「よし、もう少し歩いてみるか」


ていうか、ここで一人で突っ立っているのも、非常に怖いんだ。
遠くからカサカサ音がするんだもん。
虫や鳥、小動物の類なら全然問題ないけど、異世界のモノとかだったら、死ねる。

景気づけに鳴沢さまのテーマを口遊みつつ、進むことにした。
お守りください、鳴沢さま!


「ふんふーん。ふんふっ、ふーん。ふーふーん……んぎゃぁ!!!」


目障りな蔦をえいやと払い、一歩踏み出した瞬間。
地面が消えた。

あたしの足は空を踏めるはずもなく、すべり落ちた。


「……い、って、え」


そこは、一メートルほどの、段差があったらしい。
気付かなかったあたしは何の準備もなく落ちてしまったのだ。

気付けば、地面に倒れ込んでいた。


「さい、あく……」


イノリの時といい、この山、こんなの多すぎ。危険なんですけど、マジで。

足から落ちたせいか、両足とお尻が痛い。
頭打たなくてよかった。


「よ、と。あ、いってぇぇぇぇぇ!!」


起き上がろうとして、絶叫した。


左足、ハンパなく痛いんですけど!!
ていうか、この痛み、覚えがあるんだけど。
しかもつい最近。


「やっちゃった、なー……」


これは、同じ箇所を捻挫した。


「う、く。ん、……っ」


痛みに耐え、動かしてみる。
骨は折れてない。けど、激しく痛い。
くり、と足首を回してみるとひきゃ! と変な悲鳴が出る。
うむ、ヒビもない。すっごく痛いけど、でも大丈夫だ。

右足を見れば、ジーンズのひざ部分が破けてしまっていた。
そのすきまから、うっすらと血が滲んでいる。こちらは、擦り傷だけのようだ。
あーもう、なんで最近こんなに怪我続きな訳?
女子高生にしては生傷耐えなさすぎだろ、これ。
それに。


「じいちゃんに、怒られる……」


このジーンズ、じいちゃんに買ってもらったやつだったのだ。
こんなことしてしまったら、もう二度と買ってもらえんじゃないか。


「うう。酷すぎる……」


泣けてくる。しかし、今はそれは後回しにしなくてはいけない。


「どうしたもんかな……」