「美弥緒はさ、前日までは片鱗もなかった、女の顔してたんだ。ぞくぞくした。オレも、この子にこんな表情させたい、って」
あたし、どんな顔してたんだ?
全く、覚えてない。
皆の視線を一身に浴びて、羞恥の気持ちでいっぱいだったとは思うが、ただそれだけで、穂積にぞくぞくさせるような変わった顔をしていたわけではないはずだけど。
「ご、ごめん。意味わかんない」
「そうだろうね。無自覚だと思うよ。だからこそ、いいんだよ。君がオレのせいであんな顔をするところが見たいんだ。
で、そうするとさ、もう美弥緒しか見えなくなったってわけ」
「は、あ」
「あの時のあれは大澤のせいだって分かってる。だから、それでいいんだ。事実を事実と受け止めてるだけ。
諦めようと思えたらその方がいいんだろうけど、どうもできそうにないんで、開き直って頑張ろうかなと思ってる」
自信のあるなしじゃないんだ、と穂積はやけに爽やかに笑った。
「と、言われても……」
先にも言った通り、あたしの心は今イノリに向かっているわけで(と言ってしまうのも恥ずかしい話ではあるが)、穂積に傾くことはありえない。
「ま、気長にやるよ。オレたちまだ高一だし、これからどう転がってもおかしくないでしょ」
「は、はあ」
「まあ、まずは大澤と仲直りでも……ん?」
何気ない様子で視線を流した穂積が、何かに気付いた。
眉根を微かに寄せる。
と、いきなりあたしを抱き寄せた。
「な!? ほ、穂積!?」
「いいから。ちょっとこうしてて」
耳元で囁かれ、混乱する。
「な? な?」
何ですかー? い、意味わかんないんですけどー!?
腕の中でしばしの間もがもがしていると、カシャ、とシャッター音が聞こえた。
「ラブラブぶり、激撮しちゃいましたー。くっついたんだねー、おめでとう!」
「は?」
穂積の体の向こうから、女の子の声がした。
「カメラ、持ち歩いてるんだ?」
あたしを離した穂積が振り返って言った。
「葵ちゃん」
「あ」
穂積の向こうに、ピンクのカメラを手にした葵ちゃんがいた。
あたし、どんな顔してたんだ?
全く、覚えてない。
皆の視線を一身に浴びて、羞恥の気持ちでいっぱいだったとは思うが、ただそれだけで、穂積にぞくぞくさせるような変わった顔をしていたわけではないはずだけど。
「ご、ごめん。意味わかんない」
「そうだろうね。無自覚だと思うよ。だからこそ、いいんだよ。君がオレのせいであんな顔をするところが見たいんだ。
で、そうするとさ、もう美弥緒しか見えなくなったってわけ」
「は、あ」
「あの時のあれは大澤のせいだって分かってる。だから、それでいいんだ。事実を事実と受け止めてるだけ。
諦めようと思えたらその方がいいんだろうけど、どうもできそうにないんで、開き直って頑張ろうかなと思ってる」
自信のあるなしじゃないんだ、と穂積はやけに爽やかに笑った。
「と、言われても……」
先にも言った通り、あたしの心は今イノリに向かっているわけで(と言ってしまうのも恥ずかしい話ではあるが)、穂積に傾くことはありえない。
「ま、気長にやるよ。オレたちまだ高一だし、これからどう転がってもおかしくないでしょ」
「は、はあ」
「まあ、まずは大澤と仲直りでも……ん?」
何気ない様子で視線を流した穂積が、何かに気付いた。
眉根を微かに寄せる。
と、いきなりあたしを抱き寄せた。
「な!? ほ、穂積!?」
「いいから。ちょっとこうしてて」
耳元で囁かれ、混乱する。
「な? な?」
何ですかー? い、意味わかんないんですけどー!?
腕の中でしばしの間もがもがしていると、カシャ、とシャッター音が聞こえた。
「ラブラブぶり、激撮しちゃいましたー。くっついたんだねー、おめでとう!」
「は?」
穂積の体の向こうから、女の子の声がした。
「カメラ、持ち歩いてるんだ?」
あたしを離した穂積が振り返って言った。
「葵ちゃん」
「あ」
穂積の向こうに、ピンクのカメラを手にした葵ちゃんがいた。



