「は?」

「え?」


どうして?
琴音と顔を見合わせた。


「簡単だよ。美弥緒も冷静に考えてみなよ」

「はあ?」


穂積が、一枚引き抜いてあたしに渡した。
それは、抱き合ってるっぽい例の写真だった。


「これで何が分かるんだ? 別、に……あ、れ?」


ちょうど横から撮ったかたちなのだが、違和感。
隠れるとこ、なくないか?

記憶を必死に手繰る。
駐輪場をバックにしてるってことは、その反対側から撮っていたってことで、そちら側には車道があるのみ。
あたしたちにカメラを向けている人がいたら、気付いたんではないだろうか。

目の痛みでそれどころではなかったあたしは無理だとしても、穂積と葵ちゃんがいたんだし。

ん?


「葵、ちゃん……?」


そうだ。葵ちゃんなら、撮影できたんじゃないのか?
思い返せば、彼女は眼科に行く途中で、学校に休む旨の連絡をすると言ってケータイを手にしていた。
シャッター音を消すアプリだってあるんだし、あたしたちに気付かれないように撮影することもできたはず。

いやでも、待って。
葵ちゃんがそんなことするはずない。
あたしを心配して校内を探し回ってくれたんだぞ?


「あ、いや違うよな。はは、間違えた」

「間違いじゃないでしょ」


あっさりと穂積が言った。


「彼女なら、オレが翌日から美弥緒を迎えに行くってことも知ってる。美弥緒の自宅だって分かるだろ。あの日、彼女が美弥緒を家まで送ったんだから」

「だけど、そんな。あたしのこと心配してくれた子だし」


大丈夫? と心配そうに言ってくれた顔を思い出す。
あんなにあたしのことを思ってくれた子が、こんな真似するはずない。


「心配したフリかもしれないよ?
じゃあ、葵ちゃんじゃなかったとして、美弥緒は他に誰か思いつく相手がいるの?
こんな絶妙なタイミングでシャッター切れるような人をさ」


穂積の問いに、ぐうと唸った。
それは、いない、けども。

少しの間、沈黙が三人の間を支配したが、それをやぶったのは琴音だった。


「訊けばいいじゃない」

「へ? 琴音、何?」