加賀父の言っていることは、素直に嬉しい。
こんな人に誉められて、いやなはずがない。
だけど。
「……でも、ですねー。あたしって、すんごくモテないんですよ?」
ああ、言いたくなかったのに。
でも、なぜかぽろりと言葉を吐き出してしまっていた。
「あたし、全然モテなくて。
いや、手当たり次第にキャーキャー言われたいとか、ちやほやされたいとかいうレベルのことじゃないですよ?
好きな男の子に、ずっと女として見てもらえなかったんです」
「ふむ」
口が勝手にぺらぺらと動く。
「古武術とかやってたせいか下手な男子より腕は立つし、性格はがさつだし、言葉使いも女の子みたいにかわいくできないし。
女に見えねー、なんてしょっちゅう言われてたんです。
だから、中学卒業するときに思い切って告白したときも、『男に言われてるみてえ』なんて笑われちゃって」
へへ、と笑った。
すっかり消化できていたはずの思い出なのに、少し涙が滲む。
感傷的になってる自分が情けない。
女らしくなろうとしなかった自分が悪いのだ。
自分らしさを、なんて言ってたくせに、否定されたらショックを受けるなんて。
って、うわ、ホントに情けないや。
つーかこんなこと、加賀父に言ってどうすんだ。
急に恥ずかしくなって、慌てて早口でまくし立てた。
「まあ、今ではちょっと凹むくらいの思い出になってるんですけど。
でもそのせいなのか少しひねくれちゃってて、素直に『そうなんだぁ』って受け入れられないんですよ。
はい、そういうわけで話はおしまいです」
「ふむ」
早々に話を切り上げた。
うひー、恥ずかしい愚痴を零してしまった!
こんな情けない思い出話をどうして金吾さまに吐き出してしまうのだ、馬鹿か!
やっちまった、と真っ赤になったあたしの頭に、ぽすんと手の平がのった。
「は、はひ?」
中学生日記、とも言えないような、ただすっぱいだけの話をしたあたしに苦笑してるかな?
いや、『あちゃー』なんて呆れられてたらどうしよう。
もう恥ずかしすぎて消滅したい。
「それは、その男の子がまだガキだったんだなあ。多分、後ろで寝てる坊主のほうがいい男だぞ、美弥緒ちゃん」
「へ?」
「女の子の価値を見極められないばかりか、せっかくの告白をそんな馬鹿げたセリフで〆た奴より、祈のほうが断然いい男だ。そう思わないか?」
「は、あ」
ふ、と後ろで寝ている少年を振り返った。
ちっちゃい紳士のイノリ。
あたしを女扱いしてくれているイノリ。
好きだよって言ってくれるイノリ。
こんな人に誉められて、いやなはずがない。
だけど。
「……でも、ですねー。あたしって、すんごくモテないんですよ?」
ああ、言いたくなかったのに。
でも、なぜかぽろりと言葉を吐き出してしまっていた。
「あたし、全然モテなくて。
いや、手当たり次第にキャーキャー言われたいとか、ちやほやされたいとかいうレベルのことじゃないですよ?
好きな男の子に、ずっと女として見てもらえなかったんです」
「ふむ」
口が勝手にぺらぺらと動く。
「古武術とかやってたせいか下手な男子より腕は立つし、性格はがさつだし、言葉使いも女の子みたいにかわいくできないし。
女に見えねー、なんてしょっちゅう言われてたんです。
だから、中学卒業するときに思い切って告白したときも、『男に言われてるみてえ』なんて笑われちゃって」
へへ、と笑った。
すっかり消化できていたはずの思い出なのに、少し涙が滲む。
感傷的になってる自分が情けない。
女らしくなろうとしなかった自分が悪いのだ。
自分らしさを、なんて言ってたくせに、否定されたらショックを受けるなんて。
って、うわ、ホントに情けないや。
つーかこんなこと、加賀父に言ってどうすんだ。
急に恥ずかしくなって、慌てて早口でまくし立てた。
「まあ、今ではちょっと凹むくらいの思い出になってるんですけど。
でもそのせいなのか少しひねくれちゃってて、素直に『そうなんだぁ』って受け入れられないんですよ。
はい、そういうわけで話はおしまいです」
「ふむ」
早々に話を切り上げた。
うひー、恥ずかしい愚痴を零してしまった!
こんな情けない思い出話をどうして金吾さまに吐き出してしまうのだ、馬鹿か!
やっちまった、と真っ赤になったあたしの頭に、ぽすんと手の平がのった。
「は、はひ?」
中学生日記、とも言えないような、ただすっぱいだけの話をしたあたしに苦笑してるかな?
いや、『あちゃー』なんて呆れられてたらどうしよう。
もう恥ずかしすぎて消滅したい。
「それは、その男の子がまだガキだったんだなあ。多分、後ろで寝てる坊主のほうがいい男だぞ、美弥緒ちゃん」
「へ?」
「女の子の価値を見極められないばかりか、せっかくの告白をそんな馬鹿げたセリフで〆た奴より、祈のほうが断然いい男だ。そう思わないか?」
「は、あ」
ふ、と後ろで寝ている少年を振り返った。
ちっちゃい紳士のイノリ。
あたしを女扱いしてくれているイノリ。
好きだよって言ってくれるイノリ。



