いつかの君と握手

「いつケガしたの!? おれをおんぶしてへいきだったの!?」

「あー、あはは、うん。まあ、平気だったよ」


イノリを見つけたとき、考えなしに飛び降りてしまったせいで足を捻ってしまったのだった。
大丈夫だと思ったんだけどなー。
意外に自分の体が重かったのだ。

かっこつけて飛び降りたくせに足を捻ったなんてかっこ悪くて言えないよね。
だから黙っていたかったのー。

へへ、と笑うと、イノリはあたしの足に視線を落とした。


「い、いたい、よね?」

「んあ? 平気だよ、これくらい」

「でも……」

「仕方ねーな。ほれ、乗れ」


三津があたしに背中を見せて屈んだ。


「背負ってやろう。この三津さまがな」

「うわ。偉そう」

「あ、三津、いいよ。美弥緒ちゃんは俺が背負うよ。お前は祈を頼む」

「ふびゃ!? そそそそそんな、メッソウもないです! 三津でいいです!」

「ちょっとみーちゃん! 三津でいいってどういうことだよ!」

「うっさい! 早く背負ってくださいお願いします! これでいい!?」


ぎゃあぎゃあ言いつつも、三津の背中に収まった。
イノリは加賀父の背中である。


「よし、急ぐぞ、三津」

「うし。了解っす」


加賀父と三津が申し合わせたように早足で歩き出した。
いや、これはもう走る勢いだ。


「え? あ、あの、別に急ぐことはな……」

「K駅! 間に合わせるから!」


加賀父が叫ぶように言った。


「え!? 間に合わせるって、そんなの無理ですよね?」

「近道知ってるから大丈夫!」

「近道っていっても……時間を考えたら無理じゃないですか!?」

「無理じゃないさ! 絶対に君を帰すよ!」

「父さん! ど、どういうこと?」


会話の内容についていけてなかったらしいイノリが訊いた。


「美弥緒ちゃん、今日の朝までに帰らないといけなかったんだ。
その時間に間に合うかどうか、ぎりぎりって話をしてる」


は、は、と息を荒くしながら加賀父が言った。


「え!? そ、それっておれを探してたから……?」

「そうだ。そのせいで美弥緒ちゃんは家に帰れなくなるかもしれない」


はっきりと言う加賀父にこちらが焦った。