「ふう、どうしたものか」


三上さんはため息まじりに呟いて、ずり下がった眼鏡を定位置に戻した。


「どうしたも何も、私の告白に答えてないですよ」


「柴谷さん、君は花の女子大生で私は30過ぎたただの会社員だ。大学にもっと若くていい男がいるだろう」


「三上さんは十分若いしいい男ですよ」


「馬鹿。それに、君は一世一代の告白と言ったが、私は一世一代の結婚をダメにしてしまった男だぞ。子どももいるし、養育費も毎月払っている。それに…」


「知ってますよそんなこと。さっきから人のこと馬鹿馬鹿言いすぎです。だからなんだっていうんですか。そういう三上さんを私は好きになったんですよ。私のこと嫌いですか?」