「バッカ。本当に馬鹿だな君は。ここをどこだと思って」



「どこだろうと構いませんよ私は。三上さんがそんな冷たいことばっかり言ったら泣いちゃいますからね」



「こんな雑踏の中で泣かれたら困るな」



私はその場で立ち止まった。

通行人が私を避けるようにして各々の目的地に向かって歩いていく。


三上さんは私がついてこないのに気づいて振り向いた。



「わかったから。こっちおいで」




私は三上さんに手を引かれて人気のない路地裏に連れて行かれた。


三上さんの大きくて力強い大きな手、背広を着た広くてたくましい背中、私の告白に戸惑うその表情も、好きですよ、三上さん。