危険な瞳に恋してる

 紫音の色よりも、だいぶ薄かったので、昨日は気がつかなかったけれど。

 紫音を睨む、薫ちゃんの瞳の色は。

 絶対、フツーの色ではなかった。

「ダーク・クラウンが、俺にとっての陽の当たる場所のように。
 春陽の隣が、きっと。
 お前の居場所になるだろうよ……紫音」

 薫ちゃんの真剣な言葉に、紫音は軽く鼻で笑った。

「そうは、ならない。
 コイツは、俺のコトが嫌いだ」

 紫音が、わたしを睨む。

「抱きしめられるのさえ、泣くほど嫌で。
 ……今だって、早く関係が切れるようにバイト探しか?
 ……しかも、寄りにも寄って、オレの目の前で……!」

 紫音は、ぐい、とわたしの腕をつかむ。

「い……たっ!」

 その力の強さに、思わず悲鳴を上げた。

「来い。
 そんなに嫌だったら、すぐに自由にしてやるよ……!」

「駄目だ! 紫音!」

 わたしを連れて、控え室の更に奥に引っ張って行こうとする紫音を、薫ちゃんが止めた。

「そのコを……
 春陽をそんな風に抱いたら駄目だ!」

「うるせぇ!
 やっぱりオレには一人だけ。
 たった一人しか、いらないんだよ!!
 もう、他の女を好きになるコトも、愛するコトもない……!!!」