危険な瞳に恋してる

 判っていた、はずだった。

 だって、先生には好きなヒトがいるって今さっき言ってたじゃない!

 その直後に、わたしは勝手な想像して。

 いい気になって。

 莫迦だ……!

 莫迦みたい!




 それでも。



 ……それでも。

 村崎先生に「違う」って言ってもらいたくって、言葉を捜す。




「……貰った百万円は、返します……!
 だから!」

「今、この場ですぐ出せるのか?」

「……いいえ」

「じゃあ、やっぱり、あんたは、オレのモノじゃないか……!」





 かしゃん!





 わたしの手から滑り落ちたカップが、落ちて砕けた。

 そんなことに一瞥もせず、紫音が、来る。