危険な瞳に恋してる

 村崎先生は、すぐ屋上の生徒全員を解散させた。

 加藤先輩から屋上のカギを没収して。

 そして。

 ショックで動けないわたしを、階段下の社会科準備室まで連れてきてくれた。




 また、お姫様抱っこで。



「……大丈夫か?」

 村崎先生に、聞かれて、うんとうなづいてはみたけれど。

 まだ膝が、がくがくする。

 部屋の椅子にそっと、降ろされても、身体の震えが収まらなくて。

 乱暴に引きちぎられかけた、制服の前をかき合わせるように、先生の上着にくるまっているのが、やっとだった。

 わたし……

 大好きだった加藤先輩に、とんでもない事、されかけたんだ……!

 そう思うと、悔しくて、悲しくて、涙が出てきた。

 それでも。

 村崎先生の上着からかおる、優しい匂いに少しだけ、落ち着いて。

 かしゃん、という小さな音に気かつけば。

 村崎先生が、ティポットからお茶を注いでいるところだった。

 昨日。

 ダーク・クラウンで飲んだのと同じ、赤い色のお茶を。