紫音も、また。
今日、旅に出る。
薫ちゃんの行き先とは、別の国に。
本当は。
ココは喜ぶトコロなんだろうけど、寂しいったら仕方がない。
「あら、そろそろ時間、ね?」
最初に飛び立つ薫ちゃんが、時計を見て言った。
薫ちゃんは。
横のスーツケースの一つを軽々と持って、わたしに、にこっと、微笑んだ。
「春陽ちゃん、元気でね?
また会いましょうね?」
「うん!
薫ちゃんもね!
日本に来たら、連絡ちょうだいね?」
「ええ、もちろんよ!」
言って、薫ちゃんは、今度は紫音を見る。
……男たち二人に、会話はなかった。
「……紫音……!」
薫ちゃんは、たった一言。
ココロにあった全ての感情を名前にのせてつぶやくと。
力強く、紫音と握手を交わして、くるりと背を向けた。
そして。
もう、薫ちゃんは、後ろを振り返るコトはなかった。
「……元気でねっ!」
わたしの声に拳を突き上げ、薫ちゃんは、前だけを見て、すすむ。
今日、旅に出る。
薫ちゃんの行き先とは、別の国に。
本当は。
ココは喜ぶトコロなんだろうけど、寂しいったら仕方がない。
「あら、そろそろ時間、ね?」
最初に飛び立つ薫ちゃんが、時計を見て言った。
薫ちゃんは。
横のスーツケースの一つを軽々と持って、わたしに、にこっと、微笑んだ。
「春陽ちゃん、元気でね?
また会いましょうね?」
「うん!
薫ちゃんもね!
日本に来たら、連絡ちょうだいね?」
「ええ、もちろんよ!」
言って、薫ちゃんは、今度は紫音を見る。
……男たち二人に、会話はなかった。
「……紫音……!」
薫ちゃんは、たった一言。
ココロにあった全ての感情を名前にのせてつぶやくと。
力強く、紫音と握手を交わして、くるりと背を向けた。
そして。
もう、薫ちゃんは、後ろを振り返るコトはなかった。
「……元気でねっ!」
わたしの声に拳を突き上げ、薫ちゃんは、前だけを見て、すすむ。



