危険な瞳に恋してる

 


 ああ。

 あの闇の中で……聞いたのは……

 ……やっぱり……

 ………紫音の声、だったんだ。


 あの、苦しそうな……悲しそうな声は……


 ……紫音……


 ごめん……

 ごめんなさい……!


「全部!
 アナタのせいよ!」

 鋭いアヤネさんの言葉が、わたしのココロをえぐる。

 涙が、出て来た。

 ごめんなさい……わたし……

 これしか言えなくて………ごめん……!

「……しかも、アナタは……!」

「……そこまでにしてやって下さい……アヤネさま」

 更に、言い募ろうとしたアヤネさんの言葉を、低い声が、止めた。

「……薫……ちゃん……!」

 そう。

 病室に、音も無く入って来た巨体は……。

 黒いスーツ姿の薫ちゃんだった。