危険な瞳に恋してる

「由香里に、負けそう?
 ふん!
 勝てると思ったの?
 アナタも私も勝負にもならないわ!
 紫音は、まだ、由香里の事を少しも忘れてないのよ!!
 しかも、紫音の薬を飲んでみた理由が……それ……?
 莫迦莫迦しくて、涙が出てくるわ!」

 言って、アヤネさんの瞳が、一瞬、泣いているみたいにきらめいた。

「そんな事………私だって、とっくに試してみたわ!
 私も倒れて、大騒ぎになったのに……
 紫音は、私になんて言ったと思う?
『莫迦』って、ただそれだけよ!?
 なのに、アナタは……!!」

 言って、わたしにつかみ掛かろうとしたアヤネさんを、控えていた坂田さんが止めた。

「お、お嬢さんっ!!
 落ちついて下さい!
 相手は、病人で……!」

「うるさいわ!
 こんなのは、病人じゃないわよっ!!
 紫音は、ね!
 アナタが倒れたコトを知って、一番に病院に駆け込んで来たのよ!
 ここで寝ているアナタを見て。
 倒れた原因が、アレックスだって知って……
 ……取り乱して泣いたのよ!!
 あの、紫音が!
 いつも冷静な紫音が……!!」