「ユイノー?
 ナニ、それ?」

 聞きなれない言葉に、わたしがクビをかしげると。

 柴田は、でへへへ~~と笑った。

「婚約の為にお金や品物を交換するコト……!
 両方の両親出席でやる、イベントだって! 」

「ええっ!
 じゃあ………!」

「そうなの。
 そこまであきらクンは、考えてくれているのよ。
 ……こんなコトになるなら。
 初めてをあきらクンにあげれられれば、もっと良かったのに……
 ソコだけが、残念よね……」

 柴田は、少しだけ、影の見える顔をした。

「初めて、があきらクンじゃなくても。
 あきらクンは、気にしないって。
 だけど……あたし自身がちょっとだけ、気にしちゃった……
 春陽は。
 紫音が最初、だから大丈夫よね?」

 いつになく、真剣な柴田に、わたしは微かに笑った。

「わたしは、ね。
 紫音のコト……好きだから……いいけど……
 ………紫音は本当に、わたしでいいのかな………?」






「………春陽?」