「……柴田の方は? 何か、いいコト、あったの?」

 わたしが聞くと。

 柴田の顔が、みるみる赤く染まった。

「えへ。
 あきらクンとイイコト、しちゃった。
 めくるめく、オトナの世界、カモーンって感じ?」

 ……ナニよ、それ?

 ワケわかんない。

「なんか……二人して口を揃えて、もっと自分を大切に……!
 ……とか、言ってなかったっけ?
 言ってるコトとやってるコト……もしかしたら、別?」

 思わず、にらむと。

 柴田は、自分のヒト指し指同士をつつき合わせた。

「だぁって~~」

「ナニよ?」

「紫音に言われたから。
 ……ってワケじゃないけどさ。
 あきらクンが、どれだけ自分は真剣かって言う話になって……
 ……泣きそうになっちゃったんだもん……
 こんなに想ってくれるなら、いいや、って思っちゃったんだ」

「……柴田……」

「未成年のうちは。
 そうじゃなくても、この学校に在籍しているうちは……
 結婚とか、そういうのは出来ないけれど……
 なるべく早いうちに、結納ぐらいはしておこう、って」