「症状を診ながら、少しずつ薬の量を減らしていけば、薬を抜くコトが出来るし……
 ……俺も、今まで紫音に黙って。
 渡す薬の量を徐々に減らしてたんだ。
 薬を安全に止められるように」

「……え?
 紫音に黙ってって……
 紫音は、薬を止める気は無いの………?」

 わたしが聞くと。

 薫ちゃんは、目を伏せた。

「いいや。
 この状態を診ると……
 あんたに……春陽に受け入れられてから、紫音は自分で薬を抜こうとしてたみたいだ。
 ……俺に黙って……勝手にやって失敗したんだ。
 つくづく、紫音は、莫迦だよ………」

 まるで、泣いているように、薫ちゃんは、笑った。

「紫音は……
 自分の身体から薬が完全に抜けて。
 手助けが必要なくなったら……
 俺は、死ぬと決めた事に……カンづきやがっている」

 薫ちゃんの目から涙が溢れて……落ちた。

「だから……この莫迦は……
 昼間にちゃんとした仕事を持っているのにも関わらず……
 ホスト・クラブなんぞを立ち上げやがったんだ。
 罪を犯した俺が、働ける場所を提供するために……
 薄汚い薬の売人に戻らなくてもいいように……
 そして、俺が。
 由香里の後を追わないように………!!」