柴田たちと、バイバイして、わたしたちは。

 一番最初に来たタクシーに、飛び乗った。

 二人で仲良く後ろのシートに座って。

 落ち着いたところで、紫音は。

 わたしの手をとって、一言だけ……言った。


「……悪いな」




 ううん。

 わたしは、楽しかったよ?

 紫音と。

 柴田と。

 あきらクンとのダブルデート。



 柴田たちには、ちょっと悪かったかもしれないけれど。

 怪しげなヒトが絡んできて、どきどきしたけれど。

 楽しかった。


 ただ、今、心配なのは……




「紫音の手……
 ……すごく、冷たい、ね?」