「やーん。
 春陽、気合い入っているねぇ」

 わたしの姿を見たとたん、柴田が言った。

「そ……そう?」

「黒で、スッゴくシックにまとめたねぇ。
 大人っぽいよ。
 あの、村崎にはもったいないぐらい綺麗だねっ」

「柴田~~」

「あは。
 ごめん、ごめん。
 だってさぁ~~」

 柴田が言いかけた時だった。

「あ、待たせちゃったかな?
 可愛いお嬢さんたち♪
 ごめんねぇ」

 か、かるっ。

 いかにもチャラ男な声に振り向けば。

「宮下……先生ぇ?」

 渋谷で良く見かけるような。

 白を基調に、ゴールドをあしらった、マルキュー・メンズの最新ファッションを着た宮下先生は。

 ……確かに、教師には見えない。

「あはははは♪
 今日は先生ってのやめようよ。
 僕のことは、あきらクンって呼んでね」

 あ……あきらクン………

「そういえば、村崎は?」

 宮下先生……いやいや、あきらクンはチャラチャラした腕時計を眺めて言った。