わたしの血の気がさっと、引いていくのが判ったのか。

 薫ちゃんは、慌てて、ぱたぱたと手を振った。

「紫音ちゃんに、昼間のお仕事のコト、言うなとか、釘を刺されていたんでしょ?
 ……それ、きっと。
 紫音ちゃんがあたしに、気を使っているからだと思うのよね。
 あたしも、昼間のコトについては。
 紫音ちゃんに聞かないつもりだから、大丈夫よん」

 言って薫ちゃんは、良く手入れしているキレイな眉をしかめた。

「でもね。
 紫音ちゃん……眠るのが、嫌なんだって。
 眠ると夢ばかり見るから嫌だって、夜も昼間も仕事を入れているし……
 眠る時も、薬を使って、夢を見ないほど深く短く眠るのよ?」

「そんな……!
 それじゃ、いつ身体を壊しても……!」

「そう。
 おかしくないわ」

 薫ちゃんは、神妙に頷いた。

「だから、あたし。
 紫音ちゃんをちゃんと支えてくれる『女の子』を探していたのよ」

 薫ちゃんは、やけに『女の子』の部分を強調した。

「もしかして……薫ちゃんも……紫音のコト……好き……?」