「………村……崎……先生……?」

「……なんだ? 守屋」

 呼ばれて、返す言葉は、不機嫌そのものだったけれど。




 うっそ!




 本当に!?




 さっきのオジサンに『ホストの紫音』と呼ばれたこの人は。




 ウチのクラスの副担任の……

 ……村崎音雪先生だったなんて!





「せ、先生!
 なんて格好して……
 しかも、ホスト、だなんて……!」

 黒いスーツに黒いシャツ。

 高そうな時計に、胸には雫の形のペンダント。

 他にも、アクセサリーを一杯くっつけて。

 片方の耳にはピアスまで。

 とても……私立高校とはいえ……日本史を教えている教師には見えない。

「るせぇな。
 オトナの事情にコドモが口出しするんじゃねぇよ。
 しかも、今はプライベートだ」

 村崎先生の不機嫌は、最高潮だ。

 怒鳴らないだけ、余計に怖い。

 え、えええっと。

 ……村崎先生ってこんなキャラだったっけ?