危険な瞳に恋してる

 紫音は、薫ちゃんが揺すっても目が覚めない。

 どうしょう。

 紫音、どうなっちゃうんだろう。

 薫ちゃんが、お医者さんみたいに、紫音の手首をとったり、呼吸を確認している間、わたしは何もできなかった。

 スゴく心配で。

 オロオロしているしかなくて。

 薫ちゃんが、紫音に上掛けをかけて出てくるまで、ずっと立っていた。





 莫迦みたいに。





「……薫ちゃん!」

 部屋から出てきた薫ちゃんを捕まえてわたしは叫ぶ。

「紫音は……?」

「大丈夫……紫音ちゃんは、眠っているだけよ」

「え……? ウソ!
 だって、あんな気を失うみたいに、眠るヒトなんて……今まで、見たことないし!」

 わたしの必死の声に、薫ちゃんは、微笑んだ。





 ……寂しそうにも見える表情(かお)で。