あたしが、小さく呟くと尚希は何も言わずにあたしの方に手を伸ばして来た。







尚希を目の前にしたあたしは、当然ホッとした。







だから、尚希の手が伸びて来た時……






あたしは、強く抱き締めてくれると思った。







そう思ったあたしは、尚希の方にゆっくりと手を伸ばした。








「尚ー……」
 





ムギュッ……








「いっ、いひゃぃ!


何、しゅんの!?この、アフォ!!」








そう、尚希はあたしを抱き締めるのではなく………






あたしの頬をつねって来たのです。







しかも、久々のメッチャ……!!



痛いやつ。








「うっせー、バーカ」








尚希の眠そうな表情は、消えいつもの不機嫌な表情に変わっていた。








すると、尚希は掴んでいた頬をスッと離した。






尚希のつねりから解放されたあたしは、直ぐに口を開いた。







「なっ、馬鹿ぁ!?




あたし、事故にあったんだよ!!


しかも、ゲ・ガ・に・ん!!!!」








普通はさっ、好きな人とか彼女が事故にあって目覚めたら普通は、抱き締めてくれたり安心したりするもんでしょぉ!?