「……一葉ちゃん、辛かった?」
ルカさんの、遠慮がちな気遣いの言葉。冷たい夜風の中に、温かなひとひらの葉がひらり。
「あ……たり前ですよ。だって、人の命、奪うんですよ?軽く出来る筈、ないじゃないですか。
上辺では平常を装いながら、内心では吃驚するくらい怯えてて。
ボロを出さないよう必死でした。歌うのも久しぶりでしたし……。
怖かった、です……」
そこまで言い終えたら、急に涙腺が崩壊して、涙が溢れてきた。
止められない、止まらない。小さな嗚咽が漏れる。
もし隣にいるのがルカさんじゃなかったら、私はやるせない面持ちのまま、強がってた。
本音なんか吐き出せなかった。


