「あれ、一葉ちゃん、もう終わったの?」
白衣を血に染めたルカさんが駆けつけてきた。ルカさん早っ!!
「終わりました。怪我はありません。ルカさんは?無事ですか?」
「僕の心配なら無用だよ。有り難う」
「ならいいです」
私はほっと息をつく。実はちょっと虚勢張ってた。弱みは見せられないから、虚勢で補ってた。
「頑張ったね」
「……はい」
「残りの一人は黒羽くんと三月ちゃんがもう殺ったかな?」
「……」
私は死骸をぼうっと眺める。そして、深く一礼した。
「一葉ちゃん?」
「……この人は最後まで敵であり、そして一人の人間でした」
「……優しいね、一葉ちゃんは」
……そうだろうか。
もしも私が本当に優しい人間だったなら、相手を殺したりなんかしない筈。
私は醜い人間だ。酷い人間だ。冷酷な人間だ。
堕ちてしまった愚かな人間だ。
「行こうか」
「はい」


