「馬鹿にしやがって!おらああああっ、死にやがれチビ!!」
奴は手を振り上げ、"私"に振った。鞭は鋭く、"私"の首に巻きつく。
否、奴が"私"だと信じこんでいる者に。
「……っ!!!?んだ、これ!
・・・
俺の首に何か巻きついてやがる畜生!!お前も鞭かなんか隠し持ってやがったのか!?」
「さぁ……?それでどうするの?私の首でも絞めるの?」
「はっ、甘いな!お前の首をもぎ取るんだよ!終わりだっ!!」
奴は手を躊躇いもなく強く引いた。
「ガッ……」
鮮血が噴水の如く吹き出す。ゴトッという音と共に倒れた、猛獣使い《ビーストマスター》の身体と千切れた首。
「……最後の最後まで気付かなかったんだね。貴方が私と思い込んでいたのは、鏡に映った貴方自身。
知らない間に私の"歌"に溺れちゃったかな?ルカさんがいなくなった辺りから私、ずっと歌ってたのに。
私の歌に惑わされてくれて有り難う。
幻覚を過信して自ら死ぬ、哀れな結末だったね。可哀想。
貴方が会話していたのは自分自身。己の脳が生み出した架空の私。
面白かったよ。一人で二人分の会話してるんだもん。
さようなら、猛獣使い《ビーストマスター》。良い夢をね……」
Good night and have a nice dream!


